この本の通りに思考していれば、そう簡単にうつにはならないだろう。アドラーは、現実に対する認知を問題とする。ある現実に対し、「楽しい」と思うか「怖い」と思うか「辛い」と思うかは認知の問題である。つまり、一つの現実に対し、ある感情をあてはめるには、その目的がある、とアドラーは考える。だから、「辛いと思うのは自分が辛いと思いたいという欲望があり、それはこの現実から逃げ出したいという目的があるためだ」という感じの説明が可能となる。どんなに過酷な現実であろうと、認知ひとつで現実に対する評価は変わる、と凡そこんな感じだろう。
一方、二村ヒトシの本も面白かった。二村ヒトシは、フロイトのトラウマの議論をもとにして、優しく恋愛書を書いている点でアドラーとは異なる。「人間関係的な苦しみは、両親によって開けられた心の穴が原因である」と認めて、親のせいにすることを認め、これをブリッジに自己回復(?)を図る。アドラーとは対を成すが、一般的に受け容れられるのはこちらかと思う。
ということで、恋愛で悩んだ一年でもあった。
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なぜあなたは「愛してくれない人」を好きになるのか (文庫ぎんが堂)
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