仕事柄、社会の底辺を見ることが多い。端的に言って、税金を払うことができない人たちだ。そういう苦しさを僕は味わったことがない。でも世の中にはそういう人がいっぱいいる。中には騙された人もいる。でも民法の通り、騙されるには騙されるだけの理由があり、自己責任だし、そういう人は大抵似通った人たちだ、というのが仕事をしていて感じることだ。そしてそういう人たちの住む家というのも似通っている。整理整頓されてなくて、多くの場合、犬を飼っている。ホームレスではないけれど、身なりは汚らしい。本来なら「税金なんて払わなくてもいいですよ」とそういう風に処理をしてあげたい。でもそうもいかない。そういう人たちを相手に仕事をするのは意義あることだという風に思うが、彼らに欠けているのは、教育と、情報と、自制心だろうか。結局、生きる希望みたいなものを持つこともなく日々をなんとなく過ごしていて、公共料金の支払いなんかも適当にやっていると、どんどん人間としては下降していく。そういう人たちと接していると、なんだか自分もその穴に引きずり込まれそうな気持ちにもなってくるし、そのストレスは小さくない。どんな状況でもそうだけれど、自分より立場の弱い者に出会した時というのは、そちらに流れてしまう感情が生まれる。
- 作者: スーザンソンタグ,Susan Sontag,北条文緒
- 出版社/メーカー: みすず書房
- 発売日: 2003/07
- メディア: 単行本
- 購入: 3人 クリック: 78回
- この商品を含むブログ (67件) を見る